[% title = "Debian Project メンテナ登録 mini-HOWTO" %]
Debian JP Project の目的は、Debian の追加パッケージ集を開発することで はありません。日本語に特化しないパッケージならば、Debian Project に提供 することで、世界中の Debian ユーザに利用してもらえるようになります。パッ ケージの品質向上という観点から言っても、これは非常に有益なことでしょう。 また、日本語に特化したパッケージであっても、それらを Debian Project に提 供していくことで、多くの言語に対応したディストリビューションを開発する上 での問題点を明らかにし、新たな方針を議論する機会が生まれることになるでしょ う。
Debian の開発はオープンで、誰もが開発に参加することができます。また、 Debian 自体国際化されたディストリビューションとなることを目指しています。 したがって、開発したパッケージは、どんどん Debian Project に提供していき ましょう。また、開発作業はパッケージ作成だけではありません。ドキュメン テーション、品質管理・テストなどの作業も含まれます。さまざまなかたちで Debian の開発に参加できます。ここでは、Debian Project の開発者になるための手 順について簡単に説明します。
Debian の開発に参加するにあたり、Debian の最新動向を把握しておくこと が重要であることは言うまでもありません。Debian の開発について、最も活発 に議論が行なわれているのは、debian-devel メーリングリストです。ここには できる限り目を通しておいたほうがよいでしょう。
もし、大量の英文メールを捌ききれないならば、最新とは言わないまで も、数日程度の遅れで読めるメーリングリストアーカ イブや linux.debian.* ニュースグループを利用する方法もあります。ま た、Debian プロジェクトニュースや News for Debian developers (日本語訳) は、非常に優れたサマリです。これらを押えておけば、Debian の最新 動向はほぼつかめるといってもよいでしょう。
New Maintainers' Corner以下、特にチェックリストを読んで、申請手順をざっと把握しておきます。
New Maintainer Team とコンタクトをとります。方法は:
のいずれかです。申請が受理されると、 申請者の一覧の Un-assigned Applicants の欄に名前が記載されます。
しばらく待っていると、あなたの入会をチェックする Application Manager (AM) が割当られます。AM が割り当てられるといよいよ入会チェックの 始まりです。申請者の一覧 の Applicants being processed の欄に名前が移されます。
まず ID チェックが行なわれます。必要なものは GPG の公開鍵 (gpg の古い バージョンにあったバグのため、アルゴリズムは Elgamel よりも DSA のほうが推奨 されています) です。official developer から署名された公開鍵があれ ば、ID チェックを通過できます。Linux 関係のイベント (あるいは宴会 :)) など で顔を合わせておくとよいでしょう。official developer の署名がない場合 は、
になります。
身分証明できたら、次はフリーソフトウェアないしオープンソース ソ
フトウェアに対する態度と Debian の開発作業手順を理解しているか、の確認で
す。AM にもよりますが、時間節約のためこのチェックは IRC を使って行う
こともあります。
具体的には、Debian の社会契約やDebian フリー
ソフトウェアガイドラインを読んで賛同/理解しているか等の質問がされ
ます。Debian がフリーソフトウェアにもっと貢献するために、社会契約に
付け加えることがあるとしたら何だろう? といった質問がされたケースもあり
ます。
パッケージメンテナを希望する場合、ポリシーマニュアルやパッケー
ジングマニュアルなどを読んで内容を理解しておくように、と言われます。
ここは、希望する役割によって読むべきマニュアルが変わってくるかもしれませ
ん。
AM からのメールのサンプルが Julian Gilbey 氏によるAM HOWTOにあり
ます。この段階のチェックと次のスキルチェックの内容について知りたい人は
読んでおくとよいでしょう。
スキルチェックです。パッケージメンテナを希望する場合、実際にパッ ケージを作成してチェックしてもらうことになります。すでにスポンサーについ てもらって Debian にパッケージをアップロードしていたら、その旨を伝えるだけで済 むこともあります。ドキュメンテーション希望の場合は たとえば man ページの 作成、品質管理希望の場合は Debian の QA チームとの作業が課されるようで す。
以上でチェック終了です。チェックをすべて通過すると、希望するアカウ ント名を訊かれ、AM とのやり取りは終了です。申請者の一覧に Application Manager Recommends applicant マークが付いていることを確認しましょう。
チェック終了後 2〜3週間ほどで New Maintainer 登録メールが送付さ れてきます。
Debian New Maintainer Status に平均的 な経過日数が記載されていますが、2000年9月28日現在、申請からメンテナ登録ま で約5か月かかっているようです。なかなか AM を割り当ててもらえない、とか AM からのコンタクトが遅いとかイライラするかもしれませんが、その間にも開 発作業に関わっていると、スキルチェックを簡単に通過できるでしょう。 気長に構える覚悟はいるかもしれません。